相続では、生前に何も決めておかないと基本的には民法に沿った分け方で相続することになります。実際にご相談に来られた千葉県在住Aさんの例を挙げてみましょう。

千葉県在住A様の事例

<家族構成・状況>
Aさん(女性・50歳代)、母、弟、妹、息子
・Aさんの主人は十数年前に亡くなられており、息子と一緒に実家暮らしをしている
・弟さんは父が所有していた土地をもらい家を建てて暮らしている・既婚者
・妹さんは近くで暮らしている

長女のAさんは数年前に父を亡くし、母一人では心配なため息子さんと一緒に実家暮らしをしながら、介護が必要になってきた母の介護を献身的に続けていました。母からはいつも「自分に何かあれば、この家はあなたにあげるからね」とAさんに話しており、Aさんと息子の二人で生活をするとなれば、家があるだけでも安心だなと思っていました。

その後、母が亡くなり残った遺産は少しの現金と実家のみ。Aさんに実家をあげると言われていたことを弟と妹に話したところ、弟は「そんな話は聞いていない!きちんとこの家の価値の1/3の遺産をもらう権利があるはずだ」と言ってきたのです。Aさんはてっきり、母が弟や妹にも実家をAさんにあげると話しているものだと思っていましたが、弟には全く伝わっていなかったのです。Aさんは弟に対して「あなたはもう遺産をもらわなくても、お父さんから土地をもらっているのだからいいじゃない」と主張しても全く聞く耳を持ってくれません。
実は弟の嫁が後ろから色々と言ってきているようなのです。
この一件から、仲が良かった弟の嫁とも関係が悪化してしまい、いくら話しても埒が明かず疲れ切ってしまったAさん。結局、弟が諸々の諸経費を支払うことで実家を売却することになってしまいました。


もし母が亡くなる前に、自分の想いを伝えた遺言書を残してくれていれば、こんなことにはならなかったかもしれません。お互いに相手はこう思っているだろうと思っていても、実際は違うことが多いのです。遺言書作成は、生きているうちに分け方を決めておくのも億劫ですし、作成する費用の問題もあるでしょう。ですが、Aさんのケースの場合、遺言書があればお母様の想いもきちんと相続され、家族・親戚間の仲もここまで悪化することも防げたかもしれません。遺言書の作成方法について、元気なうちに知識を身に付けておくと後々役に立つ日が来るかもしれません。
当センターでは、遺言書作成サポートを含め相続対策に関わる総合的なサポートを行っております。相続対策でお悩みの方はぜひご相談ください。

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著書『長女と嫁が相続でやるべき5つのこと』より一部引用