こんにちは、相続コンサルタントの木村です。

近頃周りとの会話の中で「相続」の話題が出ることが増えていませんか。千葉県で公表されている「千葉県における高齢者人口の推移」によると令和6年時点で県内の65歳以上の高齢者人口は約27.6%を占めています。 これは平成9年時点の11.9%から27年間で15.7%も増加しており、2倍以上に増えたことになります。さらには75歳以上の後期高齢者となると平成9年時点の4.5%から3倍以上増えて令和6年時点では15.7%となっており、千葉県では後期高齢者の増加が顕著です。

※参照:千葉県庁 千葉県年齢別・町丁字別人口の結果

当センターでも年々ご相談者様の数が増えており、そんな中ご家族が亡くなったけれど生前何も対策していなくて相続人同士でもめているといったご相談が後を絶ちません。相続と聞くと、何となく「まだ先の話」と思いがちですが、実際には「いつか」ではなく「今から」考えておくことがとても大切です。このコラムでは今からできる準備として遺言書作成時の5つのポイントについてまとめておきたいと思います。

1. 法的に有効な遺言書の作成

最も一般的なのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。公正証書遺言の方が、紛失・偽造・改ざん・不備による無効のリスクが少なく、家庭裁判所の検認(相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせ、遺言書の偽造・改ざんを防止するための手続。)も不要で安心です。それぞれの特徴は以下の通りです。

【自筆証書遺言の特徴】

作成方法:本人が全文を自書(署名・捺印も必要)※財産目録はパソコン可(2019年1月施行)

作成場所:決まりなし

証人立会:不要

費用  :原則無料(自分で作成するため)

保管方法:自分で保管(希望すれば法務局に預けられる制度(自筆証書遺言書保管制度)もあり)

家庭裁判所の検認:必要(相続開始後すぐに使えない)※自筆証書遺言書保管制度の利用で検認不要

【公正証書遺言の特徴】

作成方法:本人が公証人に口述し、公証人が作成

作成場所:公証役場

証人立会:2人以上の証人の立会いが必要

費用  :作成手数料がかかる(財産額により変動)

保管方法:公証役場で原本を保管(紛失・偽造・改ざんの心配なし)

家庭裁判所の検認:不要(相続開始後すぐに使える)

自筆証書遺言は、費用もかからず手軽に作成したい方にはおすすめですが、その反面紛失・偽造・改ざん・不備による無効のリスクがあります。公正証書遺言は、作成手数料がかかりますが、公証役場で原本を保管するため紛失・偽造・改ざんの心配がなく、法律の専門家が関与するため無効のリスクが低く、信頼性も高いため裁判になっても証拠力が強いといった特徴があり、財産が多く、相続人が複数いて争いを避けたい方におすすめです。

2. 相続人全員への配慮

特定の相続人に偏った分配をすると、不満やトラブルの原因になります。特に、遺留分(相続財産のうち相続人に最低限保障されている取り分)を侵害しないよう注意が必要です。財産の分け方を説明する「付言事項」を入れると、気持ちが伝わり、争いの抑止につながります。

3. 財産の内容と分配方法は明確に

「○○銀行の普通預金○○円は長男○○に」など、なるべく具体的に書きましょう。「全財産を長女○○に」など曖昧に書いてしまうと、解釈の違いで争いに発展する可能性があります。

4. 相続人以外への配慮がある場合は特に明確に

例えば、内縁の妻や介護してくれた人など、法定相続人でない人に遺贈する場合は特に慎重に書きましょう。内容が曖昧だと無効になる可能性があります。

5. 遺言の定期的な見直しを

財産や家族関係に変化があれば、遺言も更新しましょう。人生の状況や法律は変化するため、作成した当時は適切だった内容でも、時間が経つと意図しないトラブルの原因になることがあります。遺言を見直すべきタイミングとしては、主に以下が挙げられます。

【遺言見直しのタイミング】

  • 家族構成が変わったとき(結婚・離婚・出生・死別などで相続人が変わるため)
  • 財産内容が大きく変わったとき(不動産の購入・売却、預貯金の増減など)
  • 相続人との関係が変化したとき(疎遠になった、介護してもらったなど、意思を変えたくなる場合)
  • 法律が変わったとき(民法や税制の改正によって、内容の修正が必要になることがあるため)

遺言は一度書いて終わりではなく、「変わりゆく状況に合わせて整える」ものです。安心して人生を送るためにも、定期的に数年に一度は内容を見直すことをおすすめします。

遺言書の有無ひとつで、手続きの煩雑さや相続人同士の関係性が大きく変わることがあります。しっかりとした遺言書があれば、相続手続きがスムーズに進み、家族の絆が保たれるケースも多いのです。「まだ早い」と思ううちは、きっとまだ準備するチャンスがあるということです。相続は、残された人たちへの最後の思いやりでもあります。この機会に一度、ご家族と話してみてはいかがでしょうか。

千葉幸せ相続相談センターでは、相続に強い弁護士、税理士、不動産鑑定士、司法書士などの専門家がワンストップで全力サポートしておりますので、お気軽にご相談ください。

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