不動産を相続するにあたり、相続税を計算するための「相続税評価額」というものがあります。相続税評価額の計算については、土地であればその土地の接する道路に対して定められている「路線価」に対して土地の面積をかけるというものが一般的な方法です。
そうなると同じ路線価、同じ面積の土地は全て同じ相続税評価額ということになります。
つまり、どんなに条件の悪い土地であっても面積が大きければ相続税評価額は大きくなってしまいます。
しかしながら、不動産は周辺環境やその土地自体の問題により、それぞれの諸条件で売却や開発が困難な場合があります。
相続しても相続税がかかり、売却も開発も困難な土地なんて・・・相続したくないですよね。
そんな時、不動産鑑定士に「不動産鑑定書の作成」を依頼すると、相続税評価額を大きく下げられる場合があります。
不動産鑑定評価書作成のメリット
相続税評価額が下がると相続税も下がることになります。
簡単な例を言うと、同じ面積のきれいな形の土地と、明らかにいびつな形の土地、路線価が同じであれば、相続税評価額が同じということになってしまいます。しかし、そこで、不動産鑑定士に不動産鑑定書の作成を依頼をすると、その形のいびつさを考慮した相続税評価額を算定してくれることとなり、節税につながるのです。
不動産の鑑定事例
①東京23区内で380㎡の土地
・路線価 260,000/㎡
・500㎡あったら20%減額ができたが500㎡に満たないので地積規模の大きな宅地の評価(規模格差補正率)は使えない。
・周りは戸建て住宅がたっている。
一区画約60㎡に区画割して分譲する場合この土地は間口に対して奥行が長い→行き止まり道路を一本入れなければならない。
結果、全体面積の中に占める道路の割合が大きく、評価額が下がった。
路線価260,000/㎡→224,000/㎡ 約1000万評価を下げることができた。
②埼玉県内で450㎡の土地
・埼玉県内 市街化区域、形の悪い土地。
路線価 80,000円/㎡
・500㎡に満たないので地積規模の大きな宅地の評価(規模格差補正率)は使えない。
・戸建て分譲用地にするには形が悪く、3区画しか宅地として造成できない。
・埼玉県郊外なので1区画約100㎡必要であるのに全体の面積に占める道路の割合が大きく450㎡のうち95㎡
道路に取られてしまう。
分譲したら売れる価格が思ったよりも伸びない。
結果、大きく評価額を下げることができた。
路線価80,000/㎡→47,000/㎡
③埼玉県内で400平方メートルの土地
・路線価 90,000円/㎡
・長方形のきれいな土地。郊外の為一宅地が広い(130㎡~150㎡)
・路地上敷地を含んだ土地2区画整形地1区画という分譲を想定。
・問題点・・・遺跡が多い(埋蔵文化財包蔵地)→宅地開発を行う場合発掘調査が必要→費用は開発者負担
木が20本生えているので伐採→造成費がかかる
結果半値近く評価額を下げることができた。
路線価90,000/㎡→47,000/㎡
このように500平米に満たない土地、平坦な土地でも鑑定評価によって相続税の評価額を下げられた事例があります。
鑑定評価を採用して頂くと場合によっては莫大な土地の評価減ができるということを覚えておいて頂ければと思います。
相続対策の一つとして、ぜひ一度、ご自身の土地の不動産鑑定書の作成を考えてみてはいかがでしょうか。